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シンケンジャー大団円

侍

 おみごとの一言──といきたいが、みごとなのはリカバリのしかた、といったところか。

 伏線がどこかに張られていないかと十一幕まで見返してみた。第六幕「悪口王」で丈瑠が動揺するのは
「うそつき」の一言、第十一幕「三巴大騒動」での彦馬氏の口にする「慟哭が気づいたここからが正念場。命を賭けたこの一策、どうか最後まで見守って……」と先代の甲冑に向けての独白。そのほかにも大小さまざまに思わせぶりなセリフがちりばめられており、もしかして最初から影武者の設定が裏に隠れていたのかもしれない、という可能性も否定しきれない。

 が──だとしたら、アンフェアにもほどがある。

 どんでん返しははっきりとした伏線があればこそ、爽快さをともなった「やられた」感が生きてくる。一見では気づかずとも、明かされたあとに見直せば一目瞭然──これが最良のどんでん返しであり、次善は勘のいい人間に見ぬかれる程度のさりげなさ……だが、少なくとも十一話まで見た時点では、はっきり“影武者”の設定が最初から決まっていた証拠はどこにも見出せなんだ。

 実をいうと、本日本屋で立ち読みした雑誌に載っていた丈瑠役の役者へのインタビューで、影武者設定が彼に明かされたのは39話から、という一文を目にしてもいる。つまり少なくとも、当の本人がそのつもりで演じ始めたのはクライマックスのとっかかり以降。

 考えられる想定としては、製作者サイドが最初からいくつかの設定を用意しつつ、終盤までどれを活かすかをなんらかの事情で決めきれなかった、という状況だ。これならば、思わせぶりなセリフが随所にちりばめられていながら、決定的な証拠が提示されずにいた理由も納得がいく。いつでも軌道修正可能な状態で、ぎりぎりまで粘った結果、と考えても不自然ではない。

 まあ、理屈では、終盤まで“ほんとうの”当主がかけらも出てこなかった理由は、その存在が完璧に隠し通されていたからだ、とか何とかいわれれば特に返す言葉はない。しかし理屈と物語性とは必ずしも両立はしない。物語中の登場人物にはわからなくとも、視聴者にはそれとなくヒントをちりばめておくのがフェアというものだ。近所に住んでいる無口な女の子、とか、それは危険すぎるというなら、たとえば流ノ介が舵木折神を釣りに出かけた時、等、侍たちとは直接関係ない場所で出会った少女が実は……といった見せかたは充分以上にできたはず。何もついででなくとも、役どころからして彼女のお披露目用に、せめて中盤あたりにでも一話分程度の話数を割くべきところだろう。本来ならば、ね。

 ただまあそれも、上のような事情があったとか、あるいは影武者設定が急遽決まったとか、そういうことだった場合はいたしかたなし。

 仮にそうだったとすれば、物語のつくり手として製作者たちが示したまとめ方は最良といってよい。

 と、いう意味で、おみごと。

 姫が突然でてくる。偉そうで無口。苦悩をあらわにする“影武者”丈瑠と、動揺しまくる“家臣”たち。

 姫が実力を垣間見せる。立場的に自由な源太以外は、納得せざるを得ないが、とうぜん釈然ともしない。

 そんな彼らを当然のごとく格下扱いし、侍ではない丈瑠と源太には軽蔑すらあらわにする、イヤなヤツぶり全開の家臣・丹波との対比を軸に、彼らの気持ちを理解・尊重しながら、あえて自分についてくることを頼む“真の”当主。

 この当主・薫の度量のひろさと家臣・丹波の器ので小ささは回を追うごとに拡大・強調されていく。心ない言葉を平気で吐き散らす丹波が、扇子、そしてついにはハリセンで薫に張り飛ばされる様子は、爽快感さえ伴い、同時に終盤に出てきて一番おいしい立場におさまった薫への反感を好感に転換させるみごとな装置となっている。

 そして本日の最終回で、イヤな家臣ぶり全開だった丹波もまたついに、真摯な態度で“侍”たちに呼びかける。単純にも、ほろりときてしまったよ。これぞみごとな逆転劇。

 終わりかたが比較的あっさりしていたのもよい。ほどよい余韻が漂う好印象のみを残して物語が幕を閉じる。この終わりかたのあっさりした爽快感は、タイムレンジャー以来だ。おみごと。

 欲をいえば、千明の成長物語にももう少し焦点を当ててほしかったところだ。落ちこぼれとして登場した千明も中盤でそれなりの成長を垣間見せてはいるが、終盤あたりで不可欠の活躍をみせられなかったところがやや痛い。丈瑠を超えた姿を見せる必要まではないが、最後まで末席の印象のままだったのは惜しい。しかしこのあたりは、きわめてちいさな瑕疵にすぎまい。

 やはり、影武者にまつわる瑕疵はおおきい。

 逆をいえば、影武者である伏線がさりげなく、しかしあとから見ればまごうかたなくはっきりと示されていたなら、この物語はほぼ完璧に語りあげられたといってよかったくらいの、すばらしい出来栄えであった。

 これだけ大きな瑕疵がありながら、近来にない満足感を覚えている。

 いや、よかった。まさしく、一件落着。




※この記事は2010-02-08 00:23:54にアメブロに投稿した記事を移転したものです。

なお、移転元の記事は削除済です。



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いまさらシンケンジャーでもねえだろうなあ(^_^;)






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